モヒカンエイリアン


カゴを片手に、エイリアンを胸に、スーパーを回る。


モヒリアンは顔を覗かせては、あれはなんだ?これはなんだ?と。いや、正確には…。


「あれアボカドやろ?半分に切ってタネ取ってな、中にエビのボイルとタルタルソースあえたの入れて、わさび醤油かけたら最高やねん‼あっ‼あのプリン、今度、九弦堂が新発売したやつちゃうん⁉原点に戻ったっちゅー、昭和プリンや。今し、とろとろのやつ流行ってやろ?わしどうも好かん。まさるは、とろとろ派?それとも昭和派?」


と、ぼくの胸からこちらを見上げるエイリアンは、可愛いげがあった。


「ぼくは平成生まれなんで」


「ゆとりアピールか?あえてどっちも選びません的な?こう、ゆるく曖昧がカッコいいみたいな?男やったらバシッと選ばんかいな‼」


「そういや、モヒリアンは男なの?女なの?」


「って、その中間て答える流れやないか‼お前、なかなか策士やの。わしこれで女やったら、みんなひっくり返る流れやろ。トサカやトサカ。このモヒカンがな、男のアカシやねん」


モヒリアンがモヒカンを撫でる。


そしてスーパーを出た時、事件は起こった。




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