モヒカンエイリアン
瞳ちゃんだ。
瞳ちゃんは、その大きな瞳をさらに大きくし、ぼくを見ている。ぼくと、死骸のように寝そべったエイリアンとを交互に見ている。
「こ、これは、お腹を押すと喋るんだ。ほら」
ぼくはモヒリアンの湿ったお腹を押す。
「なんでやねん‼」
「うわぁ‼すごーい‼」
瞳ちゃんが嬉しそうに手を叩いた。
「なんでも喋るよ、ほら」
「一回でええねん」
「ほら」
「ちょーし乗んなや」
「ほら」
「われ、しばくど」
「ほらほら」
「まさるは、瞳ちゃんが好きやねん‼」
「わっ、なんだこれ⁉」
「まさるは、瞳ちゃんが好きで仕方ないねん‼」
「やめろ‼やめろやめろ‼」
お腹を押すどころか、ムンギュー‼と手で握りつぶす。
「面白ーい‼欲しいなー‼」
瞳ちゃんが、少し首を傾げておねだりする。
プレゼントしたいのは山々だけど、次の日に瞳ちゃん宅が燃えてなくなる恐れがある。
「ごめん、ダメなんだ」
「そっか。まさるくんの大切なモノなんだね。勉強、ガンバろうね」
瞳ちゃんが席に戻った。
同時にぼくはモヒリアンを睨むが、エイリアンは肩を揺らして笑っている。