モヒカンエイリアン
突風が吹き荒れ、渦を巻くどす黒い雲。
竜巻は車や家をもぎ取って大きくなる。
こ、このままでは、うちもろとも…。
ぼくは、なにより大事な半蔵を抱きかかえ。
「やめてくれよ‼」
「なんや、お前の家は飛ばされへんのやからええやないか」
「そういう問題じゃない‼」
渦に呑み込まれていく町を遠目に、ぼくは叫んだ。
叫ばずには、いられなかったんだ。
「それが、まさるの本心かいな。ようわからんやっちゃな。ま、安心せい。被害はなんもない。ただ、モモちゃん天から降りてくるだけや。モモちゃん恥ずかしがりやなんやけど、目立ちたがり屋さんなんや」
言うとおり、嵐はパタリとやみ、雲が散っていく。
そして空が割れ。
可愛らしい、真っ黒なウサギが、天から降ってきた。
天使かと思えるくらいの愛らしさ。
「えっ、でも待って⁉」
窓から隣町を見つめるぼくは、思わず声を上げた。
だって。
だって。
だってモモちゃん。
すんげーデカイじゃん‼