モヒカンエイリアン
別離
嫌な予感はした。
世間が謎の生物、というか、どでかいうさぎの落下に恐れおののいている中、ぼくはお母さんに呼ばれた。
リビングに行くと、お父さんも座っている。
きっと、受験のことや将来のことについて、釘をさされるんだろう。
隣町が崩壊したというのに。
隣町が崩壊したというのに、お母さんが言いました。
「お母さんとお父さん、離婚しようと思うの」
「えっ⁉」
「それでだな、まさるは、お父さんとお母さん、どっちと暮らしたい?」
「どっちって…」
そんなこと、隣町が崩壊した最中にきかされたって。
2人が、なにか訴えるようにぼくを見ている。
なんだこれは。
まるで、ぼくが選んだほうがチャンピオンだとでもいうのか?
「ゆっくり考えたらいいわ」
隣町も崩壊したことだし、とでも言わんばかりのお母さん。
「どちらにしろ、大学進学は心配はいらない。気を抜かずに勉強に励むんだ」
隣町が崩壊したけれどな、と続いても不思議でない、相変わらずのお父さん。
放心状態のまま、部屋に戻ると。
「ハグしたらええか?熱く、ハグしたらええんか?」
小さなエイリアンが、両手を開くも10センチが精一杯。