モヒカンエイリアン
その時、建物全体が揺れ出した。
ま、まさかっ‼
ぼくはモヒリアンをひっ掴むと、ぜんざいに入れる栗を、与えた。
「おお、栗も好きやねんな」
両手で包むように抱きかかえて、栗を頬張るモヒリアン。
なんとか、カフェが消えてなくならずにすんだ。
「勘弁してよ。ぼく、パティシエになるのが夢なんだから」
「なんや、横文字で。要するに菓子製造業やろが。おされんてぃーなカフェするて、アンニュイなまさるはんには、おうてますなぁ」
「いちいち嫌味。だから、大学行かないで、留学したいんだ。将来は、抹茶専門のカフェがしたい。抹茶パフェに、抹茶のシフォンケーキ、抹茶のパンケーキ」
「ゆるい割には、コンセプトしっかりしとんのやな。ほなあれや、店の名前は、利休やな。なんならモキュウでもええしな。わしのマスコット作ったら売れ__」
モヒがコテッと固まって倒れたのは、みゆきさんがやってきたから。
みゆきさんはオーナーの娘さんで、今、大学生だ。
「独り言、チラっと聞こえた。抹茶のお店、私も楽しみにしてる」
(うまくいくといいな)
「えっ…。あ、ありがとう」