モヒカンエイリアン


またみゆきさんが戻ると、ぼくはヤツを睨んだ。


「勝手に心を読まないでくれる?」


「ええやないか別に。ええこと言うとったし。連れてきてくれたお礼や」


と言われれば、黙るしかない。


それに、悪い気はしなかった。心の声は己だけが知る真実の声。


みゆきさん、本当に応援してくれてるんだ。


「デレーっとし過ぎや、しまりない。留学て、カザフスタンあたりか?」


「なんでやねん‼」


思わず飛び出した関西弁。


「なんで、の、で、が弱いねん。もっとこう、相手の肋骨折ったる勢いでツッコミ入れな、相手に失礼にあたるで」


「パリです、パリ。フランスのパリ」


「ひねりがないのぉ。トンガあたりでタロイモ料理習ったらええねん。タロイモ専門店、タロイモッヒー‼」


「絶対、潰れる」


「ほな、たこ焼きの中に刻んだ沢庵とマヨネーズ入れんねん。これで売り出そ‼たこ焼っヒー‼」


「なんか地味‼」


なんて掛け合いしている、ぼくたちはまだ気づいていなかった。


なにかが、地球に迫ってきていることに。


そして。


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