モヒカンエイリアン
「退屈この上ないな。なぁ、まさる、しりとりしよーや、しりとり」
胸元から、アクビ混じりの声が聞こえる。数学の授業は、いささか退屈していたのも確かなので。
「あめ」
「めんたいこ」
「こめ」
「めだか」
「かめ」
「…めがね」
「ねこむすめ」
「…メリーゴーランド‼」
「どうじめ」
「メロンめっちゃ甘い‼」
「いましめ」
「メロン腐りすぎ‼」
「ぎょろめ」
「メ、メロン熟しとる‼」
「ルール無視やんな」
「なんでやねん‼」
「はい終わり」
悔しがるもっひーを見て、くすくす笑うぼくは気づかなかったんだ。
「なにがそんなに可笑しい?」
先生が、真ん前に立っていたことに。
「な、なんでもありません」
とっさに守ろうとしたのか、ポケットに手を当てたのが間違いだった。
携帯を出しなさいと、検討違いなことを言われたので持ってないと粘ったが、結局、固まったもっひーは先生の手に。
「なんだこれは⁈」
先生が、汚い虫でも見つけたみたいな顔をした時。
雷が鳴った。
「ただの人形なんで返して下さい‼」
「気色悪いものを持ってくるんじゃない‼」
雷が、校庭に落ちた。