モヒカンエイリアン


「愛想ないな。一円玉ぎょうさん持ってって預金したったらええねん。あれで銀行の接客レベルが分かるな。最悪なとこは免許証見せろとか言うしな。わし免許証ゴールドやっちゅーねん、ゴールド」


「昔から意外と安全運転だよね」


「なんや鼻で笑ったような物いい。40kmのとこは40kmやないか。たとえ、町内のマラソン大会みたく行列できても40kmなんや。並ばせときゃええねん。なんや流行ってるように見えるやろ」


「イミフ‼」


「なんでも略したらええんちゃうで‼知り合いにな、どんな言葉も略すやつおってな。柚子シャーベットは、柚子シャー。たまごプリンを、たまプリ。タルタルサラダをタルサラ。ここまではええわ。しまいに、マグロをマロ。ハマチをマチとか言い出して逆にややこしなってきてな」


「じゃ、モヒリアンは、ヒリだね」


「1番とったらあかんとこやん‼それやったらアフロリアンは、フロやないか。やっぱりお前はワカメブロじゃ‼」


「ねぇ、もっひー」


ぼくは、取っ組み合いを始めて膨らんだポケットに声をかけた。


そうだ。


そうなんだ。


もし。


もし銀行が…。


「爆破して」


銀行を。


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