モヒカンエイリアン
「まさる‼はよ窓から離れるんや‼」
もっひーの小さい手に引っ張られたけど、ぼくは動けなかった。
「あれってまさか…」
「そのまさかや。見つかるとやばい。はよ逃げな、失楽園どころの話やないで‼永谷園や、鮭茶漬けみたいにサラサラっと食われんのや‼サラサラっとな‼」
珍しく、もっひーの慌てようは本物だった。
ぼくは今、その理由を目の当たりにしている。
文字通り、目の当たりにしていた。
窓の外に、なにかが立っていた。
フリスビーみたいな円盤の上に、仁王立ちしている、とんでもなく怖い顔をした、ちっちゃなエイリアン。
圧が違う。
もっひーや、あっふーなんて、まだ可愛いものだ。
きっと、このモヒカン頭のエイリアンは、もっひーの世界の王なんだ。
命令一つ、指一つで、惑星を破壊できる。全ては思うがまま、なにもかもを手に入れる、王の中の王に違いな___。
「…おかん」
ん?
おかん?
「おかん、これはちゃうねん。あれやねん。あれやね___」
「あれてなんやねん‼ちょーしええこと抜かしとったら、のーてんストロー突っ込んで、のーみそちゅーちゅーしたろか‼ほんで道頓堀に沈めたんねん‼カーネルサンダースと一緒に沈めたんねん‼」