モヒカンエイリアン


空を見上げた。


夕焼けで赤みがかった空は、どこまでも果てしなく続いていた。


けれど。


同じ空を眺めるものはいない。


大好きなこんにゃくを食べようと、カラシをダシに混ぜる。


東海地方では、お味噌で食べるらしい。


その東海地方も、今や滅んでしまったが。


「うん、美味しい」


この弾力が好きだ。


大根は予想通りの染み込み具合だし、玉子もいい感じ。


でも少し、カラシが足りないかな。


ダシに混ぜ混ぜしながら、また空を見上げる。


地球は滅んでも、お腹は空くし、おでんは美味しい。悲しいくらい、おでんは美味しかった。


私が今住む、北海道以外の地球が滅んでから一ヶ月___。


エイリアンの手によって、瞬く間に地球は侵略され、だが、どういったわけか、この北の大地だけは壊滅を免れた。


それも時間の問題らしいが。


「まだ、まだ足りない‼」


やり場のない思いからか、なにも出来ない自分を責めるためか、私は残りのカラシも全部、ダシに絡めて飲み干すことにした。


私に出来ることといったら、それくらいのことだもの。


カラシ汁を一気して、謝るのよ‼


そうよ‼


そうなのよ‼





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