流星×零姫―黒龍の寵愛姫―








「危ないっ!」



「えっ?」




横を見ると、私に迫ってくる大きなトラックが見えた。


よけなくちゃと思っても、体が動かなかった。


ただ、必死な父が見えた。




―――ドンッ




体に衝撃を受け、私は歩道に突き飛ばされた。


お尻に痛みがくる。


けれど、トラックにひかれたにしては、血もなにもでていなかった。


そして、前を見ると、血の海だった。




「お父さんっ!」



何度も何度もお父さんの名前を呼んだ。


お父さんからの返事が返ってくることは、もう一度もなかった。





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