ちっぽけな距離
「んで。…なんすか」
「…あんたの気持ちが知りたいんだけど」
「俺の気持ち⁇」

なんだそれ。

「そう。単刀直入に聞きますけど、梓のことどう思ってるの⁇」
「は⁇あず⁇てかそれ、単刀直入じゃなくね⁇あんまし」
「っ、じゃあ質問を変えますけど。好きなんですか、正直」
「なんで。それ俺があんたに答えてどうなんの。あずにでも言うわけ⁇」
「違う‼︎私は…あんたが嫌いなの‼︎そんな風に人を平気で泣かせたりするような」

…は⁇

待て。

全く意味が分からない。

「俺が人を平気で泣かせる⁇」
「そうよ。なにも梓のこと知らないで。今までずっと…梓は…」
「…」
「私は梓が泣くとこ、いっぱい見てきたの‼︎それも全て、理由はあなた」
「…いや、待てって。なんの話してんのか…」
「中途半端な気持ちで梓に優しくしないでよ。傷つくのは梓なんだからっ。あんたもモテるからってあまり調子乗らないでよ。王子かなんか知らないけど」
「悪かったな、こんな顔で。俺じゃなくて親に言ってくれ」
「とにかく‼︎早く自分の気持ち伝えなさい‼︎‼︎」

それだけ言われて逃げられてしまった…

な、なんだったんだよ。

てか全く意味が分からない。

いきなり呼び出して怒られ。

俺、そんなに悪い人間なんかな。

って、仕方ねーよ、これが俺だし。

自分の気持ち伝えろって…

あいつは俺のなにを知ってんだか。

こえーよ、逆に。

もしもあいつが俺の気持ちに気づいてたらな…。

俺があずを好きって…。

ぜってぇあいつあずにチクるだろ。

俺だって言いてえよ…。

失わずに済むならな。

とっくに言ってるつーの。
< 102 / 109 >

この作品をシェア

pagetop