ちっぽけな距離

「…あ」

トイレを出て初めに声を出したのは京君だった。

「…きょ、京君…」
「盗み聞き、してたとか⁇」
「な、えっ⁇」
「ま、いいけど」
「えっと…告白されたんだよね」
「さあ」
「京君、なんて答えたの⁇」
「あ⁇好きなやついるとか⁇」

え⁇

「京君…好きな人、いるの…」

そっか。

「そうだよね、へへ…っ」
「あず⁇」

京君は私に近づいてくる。

やめてよ…そんな優しく名前…言わないでよ…。

「ごめ…」
「なんで泣くんだよ」
「泣いてなんか、ないし」
「…」

それ以上、京君はなにも言わなかった。

「戻ろう⁇」

だだそう一言、私に言った。

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