ちっぽけな距離
side 京

放課後。

「うわ、マジ委員会だる」

春樹はそう言う。

「春樹は体育委員だっけ」
「あぁ。京は保健か」
「ぁあ」
「柄に合わねー」
「いやいや、俺優しいから」

春樹と俺は笑う。

「てか相方は⁇」
「あずがどうかした⁇」
「なんか、見当たらねーじゃん」

そういやそうだ。

あずとはいつも一緒に行くのにな。

「トイレじゃね⁇」

敢えてなにも気にしない俺。

「気になんねーの⁇」
「別に⁇特には気にしないけど」
「そりゃ酷いな」
「なんでだよ…」
「なんでって、今までもずっと一緒に行動して、隣にいるのに気にしないって」
「そんなもんでしょ」

てかそろそろ行かないと。

「王子…」
「だからその呼び名止めて」
「王子は少し、自分の行動に意識した方がいいんじゃね⁇王子はさ、自分に自覚なさすぎで誰でも普通に接してるだろうけど、相手からしたらそうじゃないんだよ」
「…急にどうした⁇」

俺は春樹に聞く。

「もっと自覚しないとね」

そう最後に言って教室からいなくなった春樹。

さっきの、なんなの。

自分の行動に意識する⁇

してるよ、そんなの。

相手を傷つけるってなに。

俺、傷つけてんのかな。

ま、考えたとこでどうせわかんねーわ。

俺は保健室を目指した。


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