ちっぽけな距離

放課後

「あず、帰るぞ」
「うーんっ‼︎」

俺はいつものようにあずの前を歩く。

「今日も疲れたな」
「うん、そうだね」

あれ…あの目の前の人…見覚えが。

「なぁあず、あの人…」
「ん⁇…あの人、保健委員の副部長さんじゃない⁇」

…。

「あ…」

あの人…名前なんだっけ…。

なんとか瑠奈って名前じゃなかったかな。

するとその先輩は俺に気づいたのかこっちに来る。

え、マジで⁇

「北見君‼︎ちょうど探してたのっ」
「え、そうなんですか⁇」

すると先輩はいっとき黙り込んで俺にこう言った。

「私ね…一目惚れ…したみたいなの」
「…はあ…」
「その…だから、私と付き合ってください‼︎」

…はっ‼︎⁇

いや待て。

なにこの状況。

後ろにあずいるからね⁇

俺で見えてないのかよ。

「あ、えっとそれはつまり…」
「告白」
「あ、やっぱり⁇」

マジかー。

つーか先輩の事なにも知らないし。

「えーっと俺…」

誰とも付き合う気は無いって言おうとしたら

「あず⁇」

なぜかあずが俺を守るようにして後ろから出てきた。

「先輩」
「あなたはえっと…」
「ごめんなさいっ」

と、あずは俺の目の前で頭を下げる。

は⁇

「あず、なにして…」
「京君を好きにはならないでください」

あず⁇

「え⁇」
「京君は誰にも渡しませんから」

と、あずが言う。

すると先輩は緊張がほぐれたのか硬さがなくなり

「そっか。あなたは北見君の彼女さんか」

と、微笑んで言った。


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