ちっぽけな距離
…あれ…。

目の前からやってくるのは霜月だった。

「あれ…北見じゃん。なに⁇今帰り⁇」
「ぁあ」

てか、こんなとこでなにしてんだろ。

こいつの家、この近くじゃないはず。

「そう。あー…さっき梓っち家まで送ったから」

こいつが送ってくれてたのか。

「そっか。サンキューな」

これで少しは一安心。

って思っていたけど。

「言うことはそれだけ⁇」

と、わけの分からないことを霜月は言った。

「は⁇」
「だから。俺が送ったって聞いてなにも思わないわけ⁇」
「だからなに」

別になにも思わねぇよ⁇

「北見は梓っちのなんなわけ。いつも一緒にいるけどさ。中途半端でしょ」
「霜月⁇」

なんで怒ってんだよ。

「人の気持ち、なんだと思ってんの。そんなんだから自分の知らない内に人を傷つけるんだよ」
「…」

なにが言いたいのか分からない。

なんの話だよ。

「梓っちのこと、隣にいて当たり前とか思ってるんだったらさ」
「…」
「もう近づくのやめろよな⁇てか。俺がその当たり前ってのを消してやるよ」

それだけ言って霜月は行ってしまった。

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