ちっぽけな距離
今日の体育の授業は本当に適当だ。

男子は男子で女子のところに来てるし。

女子も女子だよ。

そんな中私は…。

「梓ちゃんっ‼︎」
「はっ、はいっ‼︎」

あっちゃ…。

変なとこに飛ばしちゃった。

「どんまいどんまい」

と、隣で言う梨花ちゃん。

「うー…」

すると隣で

「おい水樹ー、しっかりしろー」

と、いちいち言ってくる男子ども。

「ちょっ、見ないでよ‼︎」

私は言う。

見られたら余計に無理だって‼︎

「ほら、次くるぞ水樹ー」

だからなんなのよ‼︎

男子どもの中心にいるのは霜月 当麻。

「だからぁぁー‼︎」

見ないでって、言おうとしたとき

「梓‼︎前っ、前‼︎」
「え…⁇」

バンッ‼︎

…。

あれ…。

ゆっくり目を開ける。

確かさっき…私にボールが…。

…目の前にいたのは、霜月君だった。

「あっ、ぶね」
「…あ、ありが…と…」
「前を見ろ、前を」
「…ごめん…」
「おぉ。気をつけろよ」

そう言って霜月君はまた男子達の中心に入って行った。

実は霜月君。

京君のライバルだったりする。

いや、京君の。ではない。

霜月君の。ライバルが京君。

京君はライバルとかそんなのどうでもいいみたい。

ま、ライバルっての、わかるよ。

なんてったってクラスで一番モテる人だもん。

二人とも。

特に京君はね。

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