ちっぽけな距離
リビングには京君のお姉さんがいた。

相変わらず可愛いなって思った。

いや、可愛いと言うかどちらかと言えば綺麗。

白い肌にサラサラのロングヘア。

羨ましいな。

私なんかショートカット。

その時点でまず違う。

「ごめんね急に」
「いえ」

お母さんは気を遣ったのか違う部屋に行ってしまった。

「ちょっと梓ちゃんに話があって来たの。京の事で」
「…はい」

なにを言われるんだろう。

なにも心当たりがない。

「梓ちゃんは京の事正直どう思ってくれてる⁇」
「え⁇」

まさかそんなこと…聞かれるなんて…。

「ん⁇」

お姉さんは私に優しく微笑む。

「…私は京君の事…想ってません」
「え⁇」
「幼なじみだけなんて…」

…諦めなくちゃって思ったのに…。

「…それは…」
「私は京君の事、ずっと好きでした。だけど私達はただの幼なじみで…もう、正直…京君が幼なじみとか嫌なんです…もしも普通の友達だったらって、何度も思いました…」
「…じゃあ梓ちゃんは普通の友達だったら気持ちを伝えてた⁇」
「…それは…」
「幼なじみって言う距離を理由にお互い逃げてるよ…」
「え⁇」

よく意味が分らなかった。

「うんうん、こっちの話。でもね梓ちゃん。ひとつだけ言っておくわ」
「はい…」
「幼なじみだから今があるんじゃないかな」
「…」
「普通の友達って言うけどそれはそれでこんなにいつも一緒になんていられないんだよ⁇だってただの友達だもん」
「…」
「多分ね、幼なじみって言う関係は、友達って言う関係よりはるか特別だと思うんだ。だから、京と幼なじみな事。決して後悔しなくていいと思う。周りからすれば羨ましいくらいだよ」
「…そうですか…」
「だからね。自分の気持ちに負けないで⁇きっと、京と梓ちゃんなら大丈夫だから」

…。

「じゃあ私はこれで失礼するね。またなんなあったら…」
「あの」
「うん⁇」
「…京君は…好きな人、いますか⁇」

私、お姉さんになに言ってんだろ…。

「…いるよ」

…そっ、か。

やっぱり、桜さん…だよね…。

「今日…京君は多分、その好きな人に会ってるんだと思います」
「え⁇」
「まあ、私の予想…」
「ははっ。そんなわけないじゃん」

と、笑うお姉さん。

「えっ⁇」
「だったらあんな格好で行かないっしょ普通」

あんな、格好⁇

「あいつ、ジャージで行ってたよ」

と…。
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