2人の王子様
それから私は、舞琉くんに本をおすすめしてもらい、読書に没頭していた。





「舞琉ー」





「緋琉、遅いよー?」





「ごめん。それより、こんなとこに呼び出して、どした?」





「なんで帰ったの?」





「は?お前、なに言ってんだ?」





「今日、図書室の整理を奈知ちゃんと一緒に頼まれたんでしょ?」





「なっ...なんでお前がそのこと知ってんだよ?」





「奈知ちゃんから聞いたからだよ?」





「奈知はどこにいんだよ。」





「泣いてたよ。」





「嘘だろ!?」





「ホントだよ。」





「どこにいんだよ!?」





「緋琉、ここだよ。」





「奈知...」





そんなに、私って小さいのかなー。





舞琉くんの後ろに隠れてたんだけどなー。





「なんで帰っちゃったの?」





「...だよ。」





「え?」





「お前がっ、俺のこと見てないって言ったからだよっ!」





「へ...?」





え、なに?





緋琉って、ツンデレだったんだ!





可愛いとこあるんじゃん。





「緋琉、可愛いー」





「お前は黙ってろよっ!」





顔、真っ赤にしちゃって。





「緋琉のこんな顔、初めて見たかも。」





「は!?」





「あ...でも、一回だけあったかも。」





「いつだよ?」





「ほら、樺乃ちゃんの時?」





「樺乃...?」





樺乃って誰...?





「西園寺樺乃ちゃん、覚えてないの?緋琉の初恋の相手じゃん。」





「樺乃の話はすんな。」





「まだ引きずってるの?」





「お前には関係ねぇじゃねーかよ。」





「まあ、そうだね。」





だから、西園寺樺乃さんって...誰?





なんか心がもやもやするよ。





緋琉と舞琉くんの悲しそうな顔なんて見たくないよ。





ねぇ、いつもみたいに笑って?
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