リストカットシアター
「知らないフリしないで!!!」

『菜月どうしたの?なんでいきなりそんなこと言うの?』

「私、知ってるんだから…!」

『菜月!?ちょっ…』

亜由美が言い終わらないうちに

電話を切ってベットに携帯を置いて

そのまま外へ私は飛び出した。

無我夢中で走った。

もう誰も信じられない!死にたい!

ドンッ

誰かとぶつかって

私は尻餅をついてしまった。

「いたたた…」

「大丈夫ですか?」

見上げると高校生3年生くらいの

女の人が手を差し伸べていた。

「ありがとうございます…」

「いえ、ぶつかってしまったお詫びにこれをあげます」

それは小さな袋だった。

「え、でも…」

「中身は1つだけなので、お気にならず。それに何か迷っているようですし。今日、それを試してみてはどうですか?」

「試す?」

袋を開けるとその中は

ベリーが1つ入っていた。

もしかしてこれは

あの噂のブラッドベリー?

「あの、もしかしてこれ…」

聞こうとしたけど

もうあの女の人はいなかった。
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