アルマクと幻夜の月
男の神々しさに誰もが近づくこともできずに見つめている中で、アスラは俯いたまま静かに言った。
「ほう。やっと主たる自覚が出てきたか」
「イフリート、おまえはランプの魔人なんだろ?」
「そうだ」
「だったら、あたしの願いを叶えろ」
ゆっくりと立ち上がって、アスラは言う。
「言っておくが、今の私におまえの母を蘇らせることはできんぞ」
「わかってる。安心しろ。今のおまえにも叶えられる願いだから」
さっきまでと打って変わって、毅然とした態度で言うアスラに、イフリートは不敵な笑みを浮かべた。
「面白い。ならば聞こう。――我が主」