アルマクと幻夜の月
10
*第一夜 10*
冷たい夜風が頬を切る。
ジャウハラの幻夜を照らす月の下、黒馬に乗ってアスラは王宮を目指していた。
まずはどこへ行くのか尋ねたイフリートに、アスラは「忘れ物をしたから、一旦王宮に戻ってくれ」と言ったのだ。
ナズリの暗殺騒ぎでバタバタと慌ただしい王宮内は、
夜闇にまぎれて忍び込んだアスラには気づかない。
アスラはまず自室の窓から入ると、金銀宝石で飾られた宝飾品や絹の衣類、
捨て置かれた姫なりにも持ち合わせていた数少ない高級品をかき集めて袋に詰めた。
すべて売って金に替えるためだ。
王宮の外で生きていくためには、アスラの自由に使える金がいる。
冷たい夜風が頬を切る。
ジャウハラの幻夜を照らす月の下、黒馬に乗ってアスラは王宮を目指していた。
まずはどこへ行くのか尋ねたイフリートに、アスラは「忘れ物をしたから、一旦王宮に戻ってくれ」と言ったのだ。
ナズリの暗殺騒ぎでバタバタと慌ただしい王宮内は、
夜闇にまぎれて忍び込んだアスラには気づかない。
アスラはまず自室の窓から入ると、金銀宝石で飾られた宝飾品や絹の衣類、
捨て置かれた姫なりにも持ち合わせていた数少ない高級品をかき集めて袋に詰めた。
すべて売って金に替えるためだ。
王宮の外で生きていくためには、アスラの自由に使える金がいる。