アルマクと幻夜の月
アスラは寝台から起き上がった。
目立つドレスを隠すように上に羽織っていたマントを整えて、アスラは一度伸びをする。
イフリートはネズミの姿になった。
アスラが階下に降りて宿屋の主人に服屋の場所を聞いている間に、イフリートは一度宿を出る。
そしてしばらくすると、さもアスラを迎えに来た人のように、人間の姿で再び宿に戻ってきた。
教えられた服屋はすぐに見つかった。
「いらっしゃい」と、アスラたちをにこやかに迎えたのは、痩せた老婦人だ。
「このドレスを買ってくれないか」
着ているドレスを指差して、アスラは言った。