アルマクと幻夜の月
イフリートが真顔ですらすらとでたらめを並べると、老婦人は納得したように頷いた。
「そうなのかい。そいつはすごい。――あ、じゃあ、そのドレスと交換でこいつをやろうか」
そう言いながら、たくさん並んだ服の中から老婦人が出してきたのは、チョリ(トップス)とハレムパンツ(ぽかっと広がって裾がしまったパンツ)に分かれた踊り子の衣装だった。
アスラが王宮で来ていたものよりも飾りが少なく簡素ではあるが、菫青石のような青みを帯びたすみれ色が美しい衣装だ。
「どうだい、一度着てみるかい?」
老婦人の言葉に頷いて、アスラは店の奥でその衣装に着替えた。