アルマクと幻夜の月
「持ち歩いた……? ランプの魔人はランプに入っているものと思っていた」
「それは寿命が来て肉体が死に、霊体になった後だ。生きていた頃は生身の人間だったからな。当然ランプになど入れん」
へえ、と納得しかけて、アスラはふと気がついた。
「それがどうして『ランプを手にした者の願いを叶える』なんて伝説になったんだ?」
「気まぐれに願いを叶えてやっていたら、いつのまにかそんな伝説ができた。
すべての者の願いを叶えるわけじゃない。悪人の願いなど論外だ」
不本意だ、と言いたげなしかめっ面で、イフリートは答えた。