アルマクと幻夜の月
イフリートは無表情なのとは少し違う、けれども表情の読めない顔をしていた。
だが、まっすぐな淡い金の瞳が、彼の言葉に嘘偽りのないことを、言葉よりも雄弁にアスラに教えてくれる。
「私はおまえの意志など関係なく、おまえの側にいると誓った。
私は己の言葉を裏切ることは好かん」
それに、と、イフリートは続ける。
「私はソロモン王を敬愛していたが、崇拝はしていない。
だから、ソロモン王の予言の真偽はどうでもいい。
ただソロモン王におまえを守れと言われたから、そうするだけだ」
無愛想な表情。無愛想な言葉。
けれどそれは、彼が冷たいからではないと、アスラにはわかり始めていた。