アルマクと幻夜の月
イフリートよりは低いが、それでもアスラより背の高い男と、目と目が合う。
アスラは男のかぶったフードから流れる金の髪を見て、「あっ」と声を上げた。
イフリートと初めて出会った、星降る夜。
秘密の地下道を通って王宮から抜け出しときに会った、金の髪の男だった。
そういえば、あのときは女の子も一緒だったはずだ。
そう思ってきょろきょろと辺りを見渡すと、ちゃんといた。
男と同じ金髪の女の子は、男の後ろに隠れるようにして立っていた。
男も、アスラに気づいたようだ。
「君は、あのときの――」
こそどろ、さん? と、自信なさげに言う男が可笑しくて、アスラは軽く笑った。
――ああ、そういえば、こそどろと名乗ったっけ。