アルマクと幻夜の月
4
*第二夜 4*
キアンたちからかなり遠ざかってから、イフリートは地面に降り立つと、カラスから人型へ戻った。
「何だ、さっきのは」
人型になるなり剣呑な顔で詰め寄られ、アスラは戸惑ったような顔をする。
「何って、ベネトナシュの第五王子だ」
「それは知ってる」
なんで知ってるんだ、と言いかけて、アスラは気付いた。
スルターナの企てを見抜いたのはイフリートだ。
いろいろな動物に姿を変えて王宮中をうろうろしていたのだから、キアンの姿を見ていてもおかしくはない。
「じゃあ、なんでそんなに怒ってるんだ」
眉をひそめてアスラが尋ねると、イフリートはほんの一瞬、迷うように視線を泳がせる。
「……口説かれていたようだが?」
短い逡巡の後に出てきたのはそんな言葉だった。
キアンたちからかなり遠ざかってから、イフリートは地面に降り立つと、カラスから人型へ戻った。
「何だ、さっきのは」
人型になるなり剣呑な顔で詰め寄られ、アスラは戸惑ったような顔をする。
「何って、ベネトナシュの第五王子だ」
「それは知ってる」
なんで知ってるんだ、と言いかけて、アスラは気付いた。
スルターナの企てを見抜いたのはイフリートだ。
いろいろな動物に姿を変えて王宮中をうろうろしていたのだから、キアンの姿を見ていてもおかしくはない。
「じゃあ、なんでそんなに怒ってるんだ」
眉をひそめてアスラが尋ねると、イフリートはほんの一瞬、迷うように視線を泳がせる。
「……口説かれていたようだが?」
短い逡巡の後に出てきたのはそんな言葉だった。