アルマクと幻夜の月
7
*第二夜 7*
翌朝。
喧騒であふれる真昼の大通りを、アスラとイフリートは歩いていた。
その後ろを、鋭い目つきできょろきょろと辺りを見まわしながら、シンヤがついてくる。
ちゃんとついて来ているか確認するために振り返ったアスラは、シンヤの目を見て苦笑した。
「獲物を見る狩人みたいな目だな。スリなんてするなよ」
「癖なんだから仕方ねぇだろ」
顔をしかめて言い返したシンヤに、アスラは肩をすくめて前に向き直る。
ちょうどそのとき、イフリートが「こっちだ」と言って路地を指差した。三人は大通りをそれて路地に入る。
薄暗い狭い路地をしばらく行くと。
「ここだ」
ぼそ、と、イフリートがつぶやいて、一軒の酒屋の前で立ち止まった。
否、正確には、酒屋だった建物と言ったほうが正しい。
古い石造りの建物には所々にひびが入り、ひどいところは穴が空いている。
木の扉も傷だらけ。
店をたたむときに売り払うかしたのだろう、木の扉を取り付けていた金具や錠はどこにも見当たらず、扉はただ入り口に立てかけてあるだけの状態だ。
入り口の前にはかつての酒屋の看板が打ち捨てられ、いくつにも重なった足跡で泥だらけになっている。
翌朝。
喧騒であふれる真昼の大通りを、アスラとイフリートは歩いていた。
その後ろを、鋭い目つきできょろきょろと辺りを見まわしながら、シンヤがついてくる。
ちゃんとついて来ているか確認するために振り返ったアスラは、シンヤの目を見て苦笑した。
「獲物を見る狩人みたいな目だな。スリなんてするなよ」
「癖なんだから仕方ねぇだろ」
顔をしかめて言い返したシンヤに、アスラは肩をすくめて前に向き直る。
ちょうどそのとき、イフリートが「こっちだ」と言って路地を指差した。三人は大通りをそれて路地に入る。
薄暗い狭い路地をしばらく行くと。
「ここだ」
ぼそ、と、イフリートがつぶやいて、一軒の酒屋の前で立ち止まった。
否、正確には、酒屋だった建物と言ったほうが正しい。
古い石造りの建物には所々にひびが入り、ひどいところは穴が空いている。
木の扉も傷だらけ。
店をたたむときに売り払うかしたのだろう、木の扉を取り付けていた金具や錠はどこにも見当たらず、扉はただ入り口に立てかけてあるだけの状態だ。
入り口の前にはかつての酒屋の看板が打ち捨てられ、いくつにも重なった足跡で泥だらけになっている。