アルマクと幻夜の月
間の抜けた顔で首をかしげるアスラに、うすく笑ってみせると。
「おまえの行動に、いちいち疑問を持つのはやめた」
「……イフリート?」
「おまえの無茶に付き合ってやろう。そして、何があろうと守りきってみせよう」
それが、この姫を主人と決めた己に、己が課した責任だ。
本当の意味で、アスラについて行く覚悟が決まった。
今さら――ここにきて、やっとだ。
我ながら情けないな、と、イフリートは笑ったが、その笑みの意味をアスラは知るはずもない。
しばらく不思議そうな顔でイフリートを見上げていたアスラだが、やがて諦めたのか飽きたのか。
「うん。よろしく頼む」
と、困ったような呆れたような、微妙な顔で笑ってみせた。