アルマクと幻夜の月
「なー姐さん」
シンヤはイフリートをじっと見つめたまま、アスラに声をかけた。
「どうした?」
「姐さんとイフリートって、どういう関係? 恋人か何かなわけ?」
「はぁ!?」
アスラの上げた声に、道行く人々が怪訝そうに振り返る。
それに気づいて気まずそうに縮こまりながらも、アスラはシンヤの頭を小突いた。
「馬鹿なこと言うな! あたしとイフリートはそんなんじゃない」
「じゃあ、何なの?」
「私はただの臣だ」
答えたのはイフリートだ。
「臣? 下僕ってこと?」
「…………まぁ、そんなところだ」
苦い顔で頷いたイフリートに、シンヤはニヤニヤと笑ってみせる。
「じゃあ、俺が姐さんを狙っても問題ないね」
「はぁ!?」
再び素頓狂な声を上げたアスラは、今度はシンヤの頭を強くひっぱたいた。