アルマクと幻夜の月
「どうした」
「おまえ以外にも魔人っているのか?」
問われたイフリートはしばらく黙りこむと、ややあって、
「わからん」
と、短く答えた。
「そもそも何を以って魔人と呼ぶのかが問題だ」
「どういう意味だ」
アスラは眉をひそめた。
「魔人とは何だと思う。なぜ、私はランプの魔人と呼ばれる存在なのだと思う」
イフリートの言わんとしていることがわからず、アスラはますます眉間にしわを寄せる。
だが、そのとき。
「へぇ、イフリートの兄ちゃんって、ランプの魔人だったのか」
沈黙に、どこか間の抜けた声を上げたのはシンヤだ。
「ランプの魔人って実在したんだな」