アルマクと幻夜の月
「てっ……! 何だよ、突然」
「マセガキ」
「なんでだよ!」
憤慨して顔を真っ赤にするシンヤを見て、アスラはケラケラと笑う。
ひとしきり笑った後、小さく付け加えた「ありがとうな」というつぶやきを、
シンヤは聞こえなかったようで、不思議そうな顔で首をかしげてみせた。
「なんでもないよ。……さ、話を戻そう」
イフリート以外にも魔人は存在するのか、という話だったはずだ。
イフリートは元々は人であり、ソロモンから魔力を授かった。
そう、イフリート自身が言っていた。
「待てよ。イフリートは――人としてのイフリートは、とっくの昔に死んだんだよな?」
アスラの言葉に、イフリートは頷く。