アルマクと幻夜の月
「魔力で新たな器を作ることは相当に難しいと?」
「そうだ。だからこそ、死者を蘇らせる術は未だ存在しない」
ふぅん、と納得したようなしてないような相づちを返して、
アスラはふと、顔を上げてイフリートの顔をまじまじと見つめた。
「おまえは蘇った死者とは違うんだよな?」
ほんのすこし、気味が悪そうに顔をしかめたアスラに、イフリートは即座に首を振った。
「阿呆か。魂の器たる体の存在するものであれば、馬やら鳥やらと自在に姿形を変えることはできぬ」
「そんなこと知るわけないじゃないか」
と、阿呆と呼ばれたことにすこしだけ憤慨しながら、アスラは言われた言葉の意味を考えた。