アルマクと幻夜の月
目の前をまばゆい光がほとばしって、視界が真っ白に染まった。
アスラは反射的に目をつむる。
その耳に、男の短い悲鳴が二つ届いた。
次いで、どさっ、と何かの倒れるような音。
すべての音が止んで静かになってから、ようやくアスラは目を開ける。
白い光は消えていた。
ただ、目を閉じる前と光景が変わっていた。アスラと少し離れたところに、男が二人、倒れている。
先ほどまでアスラを連れて行こうとしていた二人だ。
そして。
目の前に、人が立っていた。
――この世の物と思えないほど、美しい男が。