アルマクと幻夜の月
「美しいこの私の主人が、まさかこんなちんちくりんだとは……まったく、嘆かわしい」


「……はあ?」


「運命に呪われているとしか思えないな。ランプを失くし、主人には恵まれず……。

運命の神は私の美貌に嫉妬しているのか」


「おい、ちょっと待て」


男の話を遮って、アスラは「おまえ、誰だよ」と、同じ問いを重ねる。


「どこの誰で、いつからそこにいた? 主って何だ?」


すると、男は一つため息をついて、


「ちんちくりんではあるが、主は主。不本意ながら答えてやろう」


と、微妙に腹の立つ前置きをする。そして、


「私の名はイフリート。今日からおまえのものだ。好きに使え」


不敵に笑って、そう言った。
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