アルマクと幻夜の月
「お気持ちはわかりますが、『スルターナ様』とお呼びください。いつ誰が聞いているのかわからないのですよ?」
「べつに、聞かれたってかまわないさ」
「いけません!
仮にも国王様の正妃様を呼び捨てにし、そればかりか年増呼ばわりしたなど誰かに知られれば、
アスラ姫とナズリ様のお立場がいっそう悪くなってしまいます。
姫ご自身だけならともかく、これ以上病床のお母上様を苦しめたくはありませんでしょう?」
強い口調で言われて、アスラは不満そうな顔をしながらも「わかったわかった」と頷いた。
それを聞くと、ルトは安心したように笑う。
年の割りに大人びたルトだが、笑うととたんに年相応の顔になる。
だからアスラは、ルトの笑顔が好きだ。
「べつに、聞かれたってかまわないさ」
「いけません!
仮にも国王様の正妃様を呼び捨てにし、そればかりか年増呼ばわりしたなど誰かに知られれば、
アスラ姫とナズリ様のお立場がいっそう悪くなってしまいます。
姫ご自身だけならともかく、これ以上病床のお母上様を苦しめたくはありませんでしょう?」
強い口調で言われて、アスラは不満そうな顔をしながらも「わかったわかった」と頷いた。
それを聞くと、ルトは安心したように笑う。
年の割りに大人びたルトだが、笑うととたんに年相応の顔になる。
だからアスラは、ルトの笑顔が好きだ。