アルマクと幻夜の月
「ああ、それか」
言って、イフリートはゴソゴソと腰帯をまさぐって、挟んであったものを取り出す。
「なに、これ?」
手渡されたのは、人差し指の先ほどの小瓶だった。
「毒、だろうな」
イフリートはさらっとそんな恐ろしいことを言う。
アスラはぎょっとして小瓶を落としそうになり、慌てて握り直す。
「昨夜、空を飛んでいるときに妙なものを見たので、追ってみると当たりだった」
「妙なもの?」
「えらく華やかな格好をした踊り子だ」
イフリートはそう言うが、アスラには何が妙なのかさっぱりわからない。
たしかに、なんでもない日に必要以上に飾り立てた踊り子を見れば、目を引かれる。
しかし。