アルマクと幻夜の月
「今夜はジャウハラの祭りがあるから、そのアダーラじゃないのか?」
アスラの言うように、この日の夜は建国記念の祭りが催される――
〝ジャウハラの夜〟だった。
ジャウハラの夜には、王宮の前の広場に様々な店が立ち並び、
その中央では民や異国の芸人たちが様々な芸や踊りを披露する。
そしてその中でも最も華のあるのが、〝アダーラ(乙女)の踊り〟だ。
国で最も美しく、踊りの上手な乙女たちによる〝アダーラの踊り〟は、それはそれは美しく、遠い外国からも見にくる者があるという。
そして、これには毎年アルマクの王と正妃も観に来ることになっている。
アダーラたちは踊りを終えると、今後の国の繁栄と王の健勝を願い、
王と正妃の盃に祝いの酒を注ぐのだ。