アルマクと幻夜の月
「姫様、急なことでございますが、すぐにお召し替えを!」
アスラが普段は絶対に着ないような豪奢なドレスを持って現れた宮女は、頬を上気させてそう言った。
「待て、どうしたんだ急に」
興奮した様子の宮女をなだめて、アスラは問いただす。
「それが、急なことで申し訳ないのですが……、姫様にも祭に出ていただくことになりまして。
もう祭の始まる夕刻までに時間がございませんので、お召し替えを……」
「はあ? なんでそんなことになってるんだよ」
「今宵の祭、正妃様ではなくナズリ様が出られることになったのです。
なので、第一王女であらせられる姫様にも同席するようにと、王陛下が」