アルマクと幻夜の月


「母上、大事なお話があって参りました。宮女たちに席を外すよう言ってもらえますか」


真剣な目で言うアスラに一つ頷くと、ナズリは宮女たちに目配せをする。


宮女たちが出て行ってしばらくしてから、外に誰もいないのを確認すると、ナズリは寝台に腰掛けた。


アスラにも隣に座るよう促して、

「それで、どうしたのです?」

と、ナズリは尋ねる。


久々に会えた母に、訊きたいことはたくさんある。

食べ物はちゃんと届けられているか、スルターナに嫌がらせをされていないか、――なぜアスラを避けたのか。


だが、今はそんな時間はない。

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