アルマクと幻夜の月
「でも、もう出席すると言ってしまったの。
今さら取りやめはできないわ。
それに、わたくしが行かなければ、他の方が毒を飲むことになるでしょう?」
「それは……」
「大丈夫よ、アスラ。
飲むふりをして袖に流してしまいまえばいいわ。心配しないで」
まるで駄々っ子をあやすように言うナズリに、アスラは言葉を詰まらせる。
「話はそれだけですか? なら、お部屋に戻って祭の支度をなさい。
もう夕刻まであまり時間がありませんよ」
さあ、とアスラの肩を叩く手に促され、アスラは立ち上がる。
「母上、くれぐれもお気をつけください。それから、王にもこのことを……」
「ええ、伝えておくわ」