アルマクと幻夜の月
「退屈そうだな」
そう言った肩の小鳥にちらりと目を向け、アスラは「仕方ないさ」と、ため息まじりに言った。
「民にとっては祭だが、あたしにとっては公務だ。普段サボってる分、今日くらいはじっとしておいてやるさ」
そうは言っても、退屈なのに変わりはない。
アスラはふてくされた様子で、進行方向を睨みつける。
まだ着かないのか、まだかまだか、と待ち続けて、やがて待ち疲れてうとうとし始めた頃。
「姫様、お疲れ様でございます」
女の呼ぶ声に、アスラはハッとして顔を上げる。
「着いたのか」
「はい」