+Resolution+

「お前は私を殺せるのか?」

此処に来て初めて人間らしき姿を見た。今時珍しい刀を持ち、長髪の…色は血に染まって分からないが恐らく黒
この状況での冷静とした態度、口調、持ち物。総合的に考えて、確実にこいつが標的だろう

こいつを殺せば
――やっと帰れる。



僕は正面に立った
一対一。正しく戦う態勢



「お前は私を殺せるのか?」

「アンタさあ、さっきも同じこと言ったよね。頭大丈夫?」

男は問い掛けに答えず、ただこちらを見つめ立ちすくんでいた

「…って当たり前か。こんな人外的なこと、やっちまってんだもんねえ」

男は再び口を開く

「お前は私を殺せるのか?」

「……多分殺せるよ。疑うならヤってあげよっか?」

懐から拳銃を取り出す
何も思わず。ただ、取り出すという動作を


「有難い有難い。丁度殺してもらいたかったんだよ」

訳の分からないことを言う奴だと思った

「それなら自分で首でも腹でも斬って死ねばいいのに」

男の口先に笑いが浮かぶ


「…私は、死ぬなら自分よりも強い者に殺されたいんだ。そういう野望があってね」


思わず溜め息が漏れた



なんて阿呆らしい、本当に馬鹿げてる。それなのに何故此処に転がっている奴らは、こんな馬鹿げた生物などに殺されてしまったのだろう
殺さないと自分が殺されることぐらい理解しているはずなのに。



「自分が死にたいがために他人に迷惑掛けちゃいけないと、僕は思うけど」

一瞬、男の顔から笑いが消える。少し余裕をなくしたように見えた



「…お前などに、俺のことを何一つ知らないお前らなどにっ!!そんなことを言われる筋合いなど」









―ドキュン―――
















静寂を破る、一発



その場の全てのものを打ち破るように銃声が高鳴った




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