先生が好き

真っ暗な視界…。

そのどこからか…

あたしを呼ぶ声がした。

でも、すぐに聞こえなくなって…。

また、呼ぶ声がした。

今度はだんだん大きくなって…

あたしは目を覚ました。


「ねぇちゃん!?ねぇちゃん!?」

白い天井が見えた。

はっとして、起き上がろうとした。

お腹全体と背中に激痛が走った。

「いっ゙!?」

「亜果梨!?ダメ起きたら。」

「お姉ちゃん!」

お母さんは泣いてあたしの手を握っていた。

隆ちゃんとお姉ちゃんも泣いていた。

「みんなどうしたの?」

「あなた…刺されて、体育館の裏で倒れてた。1週間も眠ってたのよ。運ばれたとき、出血が酷くて死んじゃうところだったの!」

「ねぇちゃん…よかった。見回りに来てた早川って先生が見つけてくれたんだ。」

先生が…。

涙が溢れた。

よかった…生きてた。

「うぅ…ごめんなさい…心配かけて…ウゥ…」

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