キミノエガオヲ
ソシテ…“サヨナラ”?
夏休みに入って俺と高野は会わないわけが無い。

同じ部活で同じパートなんだから。

あの告白の事は高野の記憶から消されているかのように前と同じ。

そして、部活が休みに入り俺と高野は会えない状態。

けど、学校から電話があった。

『高野さんが…亡くなりました』

「…は…?」

『滝川くん宛の手紙があるから…』

「…何処に行けばいいですか」

『△○□病院…』

電話を切ると俺は走り出す。

家とその病院は近かったから。

(嘘だ、高野が…高野が死ぬわけない。だって…この前まで楽しそうに笑ってたじゃん)

病院に着くと先生が入り口で待ってた。

「滝川くん…高野さんはこっちです」

「…」

先生についていって病室に入ると皆がベッドを囲んで泣いていた。

それを見ても、受け入れられない現実。

(…違う、これは悪夢だ)

「……はっ、い。こ…れ、フユキ宛の、手紙…‼︎」

嗚咽を零しながら俺に手紙を渡してくれた川村(アヤ)

「ありがと…」

ガラッと扉が開き涙を零しながら入って来たのは東。

「お前は泣かないのか?俺はこんなに、悲しくて、涙が止まらないのに…」

ボロボロと零れる涙を拭いながら話しかけて来た東。泣き過ぎて目が真っ赤だ。

「これは、悪夢だから、きっともうすぐ目が覚めるんだよ」

「現実だ…受け入れろよ」

「また、部活が始まれば高野が来る気がするんだ。

いつもみたいに笑ってさ」

「…手紙、読めば」

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冬希へ

今、何考えてる?…まぁそれはどうでもいっかな?

この手紙の最後に私の好きな人書いてるからね。

ねぇ、フユキは嘘が好きって言ったよね
私は嘘吐きだよ、なぜかって
怪物が私の心を盗ったから。
もう嘘で溢れてるんだ
騙せない人が消えちゃって、つまんなかったなー
ホントは誰かが気付いて
『もう、いいよ』
って声をかけて欲しかった。

私、嘘が得意だしすきなんだ

けど、嫌いかな

フユキ

好きです

けどこれは無かったことにして
2人の最後のヒミツね♪

フユキには他に似合う人が居るよ
だから私のことは忘れて

フユキの記憶から「高野花音」っていう人の存在を
消しといてね


ありがとう、それと…ゴメンね

好きになってくれてありがとう
好きになってゴメンね

高野 花音
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これを見ても受け入れることはできない現実。

「…高野、嘘だろ?」

手紙の最後の高野の名前をそっと指でなぞる。

(…なんか、書いてる?)

名前の横に小さな文字。それも消しゴムで消されてる?

(…大好き、って書いてんのかこれ)

「…高野」

早く返事してくれよ

もー何ようるさいなぁ‼︎

っていつもみたいにさ。

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