狙われし姫巫女と半妖の守護者
第一章 危機
封印のとけし洞窟
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風が吹き抜けていく。
まだ綺麗な薄紅の花びらが数枚、足元でくすぶっていた。
「じゃあ、凛、また明日」
男の子みたいに短いショートヘアをゆらりと風に遊ばせ、大きく手を振る真央。
「うん、またね、真央」
立ち止まったまま笑顔で小さく手を振る私。
真央は高校生になったばかりで短くしたスカートをはためかせながら、小走りで遠ざかっていった。
「さて、私も帰らないと」
顎をあげると、雨のように降る緑の交じった枝垂れ桜の大木が、今日も私を見下ろしていた。
そんな桜の脇には、たくさんの木々と、山へと向かってのびる古い石段。
私は石段の端に足をかけ登りはじめる。
周りは森に囲まれていて、進むごとに緑は濃くなっていく。
石段の方まで張りでている枝葉は風にあおられ、私の耳のすぐそばでお構いなしにざわめいている。
ふと石段の先を見上げれば、緑の中に鮮やかな朱色の鳥居が見えてきた。