狙われし姫巫女と半妖の守護者


目をみはる私の視線の先で、烏天狗の頬から赤いものがたれた……。

刀が、届いた……。

「ふーん、半妖風情がよくもやってくれたな!!」

でも降りかかったのは狂ったような怒号。

刀を振り抜いたばかりで、体制の崩れた着物の彼。

そんな彼の腹めがけて、烏天狗の膝が入る。

容赦なく蹴りだされる足。

「あっ!」

尋常ではない威力で、彼の体が飛ばされる。

恐怖にまた私の足はすくむ。

動けない。

足が動かない。

重く鈍い大きな音が頭にまで響いた。

刀を握りしめたままの彼が私の目の前で地面に叩きつけられる。

無力に投げ出された手足。

更に着物を染めた膝からの出血。


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