狙われし姫巫女と半妖の守護者


絞りだそうとしても声が出なかった。

地面に打ち付けられた彼はうめき声をあげ、顔を歪めきっている。

私にできることはなに……?

できることなんてあるの……?

このままじゃ、彼、殺されかねない。

私がどうにかしなきゃ。

狂いそうになるほどそんな考えが駆け巡る。

だけど、膝ががくがくと震える。

私になんてなにもできない……。

情けない思いで、自分の胸に手を押し当て、痛いほど唇を噛む。

怖くて、足が後ずさる。

どんどん切羽詰まって胸がいっぱいになっていく。

どうしたらいいの?

「半妖が俺に刃をつきたてた罰だ」

響き渡る怒り狂った声。

その声に慌てて頭上を見やれば、私は目を疑った。


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