狙われし姫巫女と半妖の守護者
「遅すぎなんだよ」
私の上にいる彼はむくりと起き上がり、声の主の方をきつく睨みつける。
「ごめんな、ちょっと烏天狗の手下どもにてこずって」
なにが起きているのはちっともわからない。
鉄骨は、彼が私を抱きしめてくれた時と同じ位置。
彼は普通に喋っていて、時間は止まってるわけじゃない。
「早く鉄骨の下から出ろ。七瀬の結界もそんなにはもたない」
着物の彼はわけがわからずにいる私を乱暴に引っ張って、鉄骨の下から出す。
ちょうど出たら背後でドスンと落下音がとどろいて、思わず悲鳴をあげた。
私の真後ろで、鉄骨が地面にうちつけられたのだ。
地面に横たわる人の身長よりもはるかに長い鉄の塊。
さっきは必死だったけれど、私たちはこれの下敷きになるところだったんだ。
そう思うと、背筋がぞくりとする。
「来るのが遅くなってごめんね」